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自発的に行う活動で仲間を増やし、地域ならでは魅力を知ってもらう“楽しみながらのゴミ拾い”

環境
自発的に行う活動で仲間を増やし、地域ならでは魅力を知ってもらう“楽しみながらのゴミ拾い”
活動団体 心がすっきり夢拾い
活動場所 静岡県御前崎市 他

静岡県内の市街地や海岸でゴミ拾い活動をしている任意団体「心がすっきり夢拾い」。現在、13グループが静岡県内各地、大阪府、バリ島の12の地域で活動しています。コンセプトは“楽しみながらのゴミ拾い”。代表の海野秀三郎さんと副代表の伊村俐香さんに、活動内容についてお話を聞きました。

(左から)蓬莱橋リーダー 久門榮太郎さん、代表 海野秀三郎さん、副代表 伊村俐香さん

 

 

海にゴミを流さないために。身近な街からから始まった、自主的な美化運動

心がすっきり夢拾いは、2018年から活動を始めました。活動の柱は3つ。 1.標識やイベントチラシの作成、SNSの発信を通じた【ゴミを出さない活動】 2.街中や海岸の手前でゴミ拾いを行う【出たゴミを海まで流さない活動】 3.御前崎市のウミガメの産卵地・下岬海岸のビーチクリーンを行う【海に流れ着いたゴミを拾う活動】 地元市民のリーダーを中心に、環境を破壊せずに子どもたちが明るく住みやすい豊かな街づくりを目的として、各グループが月に1、2度のゴミ拾い活動をしています。

海にゴミを流さないために。身近な街からから始まった、自主的な美化運動
御前埼灯台下にある渚の交番で、夢拾いの活動を紹介している

団体代表の海野秀三郎さんは、毎朝、就業前に会社前の道路でひとりゴミ拾いをしていました。これに賛同した他の社員が加わり、2018年、任意団体「心がすっきり夢拾い」として月1回の活動が始まりました。「ゴミを拾うと、心がすっきりするね」「僕らはゴミを拾いながら夢を語っているよね」という仲間との会話が、そのまま団体名になったそうです。いつしか、他の地域に暮らす人も参加するようになり、その人たちが自分の住むエリアのリーダーとなり、活動エリアが増えました。海野さんは定年退職後も活動を続けています。 海野さん「地元愛の強い人や“夢拾い”という言葉に賛同する人が、自発的にリーダーになってくれます。活動の目的は海をきれいにすること。捨てられたゴミの8割は、最終的に海までたどり着いてしまいます。これを少しでも減らすため、海の手前でのゴミ拾いを大切にしています」。

 

ウミガメが産卵に来る御前崎の海岸の活動は、遠方からの参加者も

白亜の灯台が建つ景勝地、御前崎は、観光や周辺の海岸でサーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ人が、静岡県内外から訪れます。また、ウミガメの産卵地としても知られています。 「心がすっきり御前崎で夢拾い」は、偶数月の第3火曜日に、御前崎マリンパークや御前埼灯台の下にある「渚の交番」下の駐車場で「出たゴミを海まで流さない活動」を、奇数月の第2日曜日はビーチクリーンを行っています。この活動には、地域に事業所がある会社の社員も参加し、ゴミ拾いだけでなく、ゴミの運搬なども手伝っています。 取材を行った8月22日(火)は、15名が参加、1時間ほどで、45リットルゴミ袋15袋分のゴミと、海岸に流れ着いた漁網やブイなどを拾いました。また、今回は初めて近隣の高校生4名が参加してくれたそうです。 平日は、御前崎市民が中心ですが、日曜日に開催するビーチクリーンは、御前崎市以外からひとりで、友人と、家族と一緒になど、さまざまな年代の人が参加し、50名規模での活動になります。

ウミガメが産卵に来る御前崎の海岸の活動は、遠方からの参加者も
自動販売機周辺にはゴミ箱入りきらない空き缶が散乱

 

 

ゴミと一緒に夢を拾って、人生が変わる!?地域の魅力を発見できる!

御前崎のリーダーは、副代表の伊村俐香さん。知り合いに誘われて他地域の夢拾いに参加しましたが、最初はまったく積極的ではありませんでした。2020年7月のこと。高校を中退した友人の息子さんを誘い、渚の交番下駐車場のゴミ拾いをしました。その後、その息子さんは、この時知り合った海野さんの紹介で通信制の高校に編入、留年することなく無事卒業を迎えたそうです。 伊村さん「ゴミを拾ったことで、新たな人との出会いが生まれ人生まで好転して、これがまさに「夢拾い」だと思いました。これをきっかけに御前崎のリーダーになり、子どもたちを誘って活動するようになったんです。この地域に来る人に、きれいな景色やスポットを紹介できることも嬉しく、だんだんとやみつきになりました(笑)」。 初めて訪れる地域も、実際に歩いて、地元に住む人の話を聞くと、また来てみようかなと興味が湧きます。「夢拾い」が、自分が住む街以外に接点を持つきっかけづくりになります。

 

 

活動後のお楽しみが地域貢献に。県外からの参加者も大歓迎

御前崎のビーチクリーンは、海岸に打ち寄せられるたくさんのゴミを見過ごせなくなった伊村さんの強い希望で始まりました。居住地外でも、仲間と一緒に地球をきれいにしたいと思う人は多いだろうと考え、ビーチクリーンというイベントとしての開催にしたそうです。

活動後のお楽しみが地域貢献に。県外からの参加者も大歓迎
御前崎下岬海岸のゴミを拾う参加者

「夢拾い」は、ゴミ拾いはもちろんですが、参加者は地域の飲食店で食事をする、おみやげを買うなどのお楽しみがあり、これが地域貢献にもつながります。 海野さんは、活動を長く継続していくために、活動拠点の数にはこだわらず、各地域での呼びかけから活動当日の運営、報告書づくりまでできるリーダーの育成を考えています。また、ボランティア参加証明の発行も開始。高校生や大学生にも積極的に参加してもらい、地域の未来を考え、行動する機会にしてほしいそうです。

灯台に見守られながらの「夢拾い」

海野さん「夢拾いの大きな特徴は、居住地では参加しにくいけど、他の市町なら喜んで行くよ、という人が7割くらいもいること。ぜひ観光がてら、気軽に参加してください」。 伊村さん「海にゴミが散乱している様子を見ると、子どもたちの将来はどうなってしまうのかと考え、今私たちが食い止めなければという使命感も持ちます。でも、私たちの活動はゴミオンリーではありません。景色がきれいだから写真を撮っちゃおう、終わったら近くのお店でおいしい海鮮を食べて帰ろう、といった“ゆるさ”“あそび”も楽しんでほしいんです」。 観光ガイドにも載っていない街の魅力に触れられる「夢拾い」。御前崎の雄大な海辺で活動は、ライフワークとして楽しく参加できそうです。

 

【リンク】 心がすっきり夢拾い https://yumehiroi.crayonsite.net

 

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター

 

 

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