事例紹介
話題の「走る(歩く)×拾う」SDGsフィットネス!プロギング浜松
環境活動団体 | プロギング浜松 |
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活動場所 | 静岡県浜松市 |
『プロギング(plogging)』という言葉をご存じですか?
スウェーデン語の「plocka upp(拾う)」と英語の「jogging(走る)」を合わせた造語で、ジョギングをしながらゴミを拾う新しいSDGsフィットネスです。
楽しみながら地域の課題を解決できるポジティブな活動として、世界で広がりをみせるプロギング。
静岡県でも活動が行われていると知り、『プロギング浜松』代表の久米秀幸さんにお話を伺いました。
ひとまえでごみを拾うことが恥ずかしかった
「御年80歳の紳士が、佐鳴湖でごみ拾い活動を行っていたのですが、ひとりで拾ったごみの量に驚きました!なんと1トンを超えているのです。」
取材の最初に、浜松市でプロギングの活動をスタートした経緯を尋ねると、久米さんはそう話しだしました。
浜松市の環境部に務める久米さん。佐鳴湖に散乱するごみやマイクロプラスチックを前に、「自分には何ができるのか!」と、通勤時にひとりでごみ拾いをはじめたのですが、人前でごみを拾ってみると、妙に恥ずかしい感覚に囚われたそうです。
「自分が偽善者っぽく映らないかと考えてしまい、思っていた以上に精神的なハードルがありました。」
そんな中、『ごみゼロフェスタ』というイベントで、プロギングジャパンの代表と出会います。
もともとランニングを趣味にしていた久米さんは、ジョギングとごみ拾いをかけ合わせた活動に共感し『プロギング浜松』を立ち上げました。
共同作業から育まれるコミュニティ
プロギングイベントを主催し、仲間が集まり始めると、責任感や使命感ではじめたごみ拾いが、楽しみに変化しはじめました。
「腰を屈めて、ごみに手を伸ばす動作はランジトレーニングに似ています。健康づくりや筋トレだと思えばポジティブに取り組めますし、活動を共にする仲間がいることは、何よりのモチベーションになりました。」
ごみ拾いに最初に感じた、照れや恥ずかしさは、すぐに感じなくなったと言います。
プロギングは参加出来る年齢層が幅広く、気軽に取り組めるのが魅力で、0歳児を連れて参加する親子や、孫と参加するシニアもいるそうです。
ごみ拾いを単にボランティア作業と捉えるのではなく、仲間と一緒に走ったり、歩いたりしながら、エクササイズとして行うと、活動が自分の楽しみにもなるし、妙にクセになって、活動を継続しやすい効果もあるのだとか。
ごみ袋は一人一枚では無いため、自然とコミュニケーションが生まれたり、チームで競い合うゲーム要素を取り入れたりと、工夫されています。
「拾うこと」と「捨てないこと」
「ごみを拾う活動と、捨てさせない活動。どちらに注力すべきか?」時に、そんな葛藤があるそうです。
しかし、不法にごみを捨てる人に働きかけて、止めさせることは、容易ではありません。
「ごみを拾う人(量)が増えて、ごみを捨てる人(量)よりも多くなれば、ごみはゼロに近づいていくはず」
という想いのもと、草の根的に「ごみZERO運動」を展開をしているそうです。
窓ガラスが割れているのを放置すると、それが「誰も地域に対し関心を払っていない」というサインとなり、環境の悪化や大きな犯罪へ繋がると唱える『壊れ窓理論』にも話が及びました。
ごみが捨てられていることを放置せずに、まずは目の前の一つのごみを拾うアクションは、単にごみが無くなるだけではない効果を生み出すといいます。
ごみ拾いは街づくりの原点かもしれない
いつでも。どこでも。だれとでも。
ごみ拾いは、ボランティアの基本。そして、暮らしや街づくりの原点と言えるのかもしれません。
夕日に染まる美しい海岸線でプロギングを行うと、海洋ごみの多くは陸域から出ていることに気づけるはず。
山から街、そして海まで連鎖するごみ問題。歩いたり、走ったりしながら自然とごみを拾いたくなるのだとか。
ひとりでもごみ拾いは出来るのですが、「ぜひ一緒に楽しみながら活動しませんか?」久米さんは言います。
WEBサイトでは今後の活動予定が公開されています。
「体力レベルや場所のバリエーションがあり、コンスタントにイベントを行っているので、気軽に参加して下さい。」
今後は、行政との連携や、浜松だけにとどまらず、静岡県全体や三遠南信地域も巻き込んで行きたいと展望を話してくれました。観光や婚活と合わせてプロギングを楽しめる提案も積極的に行う予定だそうです。
「ポジティブな力で足元から世界を変える。」
プロギング浜松の活動の輪は、ごみの量と反比例して拡大中です。