事例紹介

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美しい自然の循環づくりを実践するビオトープ十湖池(NPO法人 浜松市東区の自然と文化を残そう会)

環境
美しい自然の循環づくりを実践するビオトープ十湖池(NPO法人 浜松市東区の自然と文化を残そう会)
活動団体 浜松市東区の自然と文化を残そう会
活動場所 静岡県浜松市

1868年。江戸時代の最後、そして明治時代が幕を開ける激動の時代に、その後『十湖池』と呼ばれることになるその池は誕生しました。

 

天竜川の支流である豊川(大川)の洪水により、約3,000㎡の池が出来たと言い伝えられています。

洪水の影響を受けたエリアの中に、俳人・松島十湖の土地が含まれていたため、いつしか(松島)十湖池の名が定着しました。

 

時は令和。

江戸末期の洪水によって生まれた池は現在、地域の人が自然と生き物に触れることの出来る『十湖池ビオトープ』として維持管理されています。

 

十湖池の変遷とビオトープでの活動について、NPO法人『浜松市東区の自然と文化を残そう会』会長の井口繁和さんにお話を伺いました。

 

目次

1)十湖池ビオトープって、どんな場所?

2)NPO法人『浜松市東区の自然と文化を残そう会』

3)自然・生き物への啓蒙活動の難しさ

4)想いをつなげる楽しい活動をつづけたい

 

十湖池ビオトープって、どんな場所?

十湖池ビオトープって、どんな場所?

ドジョウやフナ、ホタルがいて、子ども達の遊び場になっていた十湖池は、農業用水路の整備による地下水の減少で昭和40年代に涸れはじめます。(宅地埋め立ての影響もあって、航空写真で確認すると平成9年には完全に消えてしまいました)

 

「長く愛されてきた池を忘れてほしくない。」

 

平成11年、松島十湖のひ孫にあたる松島知次さんが、地元住民ら協力のもと、十湖池の跡地に『十湖池ビオトープ』を造成することに。池の豊かな自然環境を後世に残すための活動がスタートしました。

 

十湖池ビオトープ(静岡県浜松市中央区豊西町1870)では、絶滅危惧種のカワバタモロコやミナミメダカをはじめ、多くの生物が生息し生物多様性が維持された貴重な場所となっています。

 

※ビオトープとは

bio(命)とtopos(場所)というギリシャ語が組み合わさった造語。生き物が暮らす場所(生物生息空間)を意味し、生物が住みやすいように環境を改変することを指すこともある。

 

※松島十湖(まつしまじっこ、1849~1926)

江戸の末期、現在の浜松市中央区豊西町(旧東区)に生まれた俳人で、報徳運動家、政治家。『今芭蕉』と言われ、明治・大正の時代、全国各地に門弟がいた。十湖池ビオトープとその周辺には、松島十湖とその門徒が残した句碑が数多く残る。

NPO法人『浜松市東区の自然と文化を残そう会』

NPO法人『浜松市東区の自然と文化を残そう会』

十湖池ビオトープを維持管理し、地域の人々が自然と生き物に触れる機会をつくる活動を行うのが『浜松市東区の自然と文化を残そう会』です。

 

十湖池ビオトープの除草、落ち葉掃き、剪定等の整備を行いながら、静岡県自然保護課と提携して、絶滅危惧種の魚類の保護繁殖に取り組んでいます。

任意団体からスタートし、平成27年にNPO法人化。現在、子ども向け自然体験イベントや植樹体験などを積極的に行っています。

 

春にサツマイモの苗を植え、秋に収穫と焼き芋を体験するイベントはとても人気です。

 

その他、駆除を兼ねたアメリカザリガニ釣り大会、養蜂家の方を呼んでのハチミツ搾り体験、ネイチャークラフト教室、シイタケの菌打ち体験なども行っています。

 

自然・生き物への啓蒙活動の難しさ

自然・生き物への啓蒙活動の難しさ

十湖池ビオトープを維持する上で、苦労されていることを伺うと、

「絶滅危惧種の保護・育成を行う池に、飼育できなくなった外来種の魚やカメが放たれていたことが…。犬のフン始末や、保護している池の魚を無断で獲る行為に関しても、自然・生き物への啓蒙活動の難しさを感じています。」

 

と話してくれました。

 

地道な啓蒙活動を続ける一方で、高校生にボランティア活動として十湖池ビオトープに関わってもらうことにも挑戦しています。

 

始めから高い意識の生徒さんもいますが、最初の動機は「先生に強く勧められたり」「進学の実績になるから」と、成績や進路のためにボランティア活動に参加した地元学生たちですが、誰かの笑顔のために行動することの喜びをおぼえ、十湖池ビオトープに愛着を持ってくれるようになり、

今では年間で70~80名の、地元学生が地域活動を行う場として定着しています。

 

「若い世代に、自然や生き物とふれあう場を提供することは、未来のためになるはず。」

 

井口さんはそう言います。

 

 

想いをつなげる楽しい活動をつづけたい

想いをつなげる楽しい活動をつづけたい

「活動そのものが楽しくないと自然体験イベントは続かないので、楽しくて学びにもなる企画を心がけています!年々失われてゆく自然を何とか次の世代に残すため、今年もさまざまなイベントを企画中です。」

 

 

行政や近隣企業、高校や団体との協働もしており、年々『浜松市東区の自然と文化を残そう会』の活動の幅と、関わる人の輪が増しています。

 

 

イベント参加、ボランティアともに随時募集ですので、詳しくは公式WEBサイトをご覧ください。

 

 

【リンク】

▼NPO法人『浜松市東区の自然と文化を残そう会』HP

https://jikkoike.com/

 

▼SHIZUOKA YELL STATION団体情報ページ

https://shizuoka-yellstation.com/group/d100

 

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター