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「交流」×「移住」の二刀流で地域の活性化を推進!かけがわランド・バンク

まちづくり
「交流」×「移住」の二刀流で地域の活性化を推進!かけがわランド・バンク
活動団体 NPO法人かけがわランド・バンク
活動場所 静岡県掛川市

新幹線の駅から徒歩圏内にお城がある街なんて、そうそうない!

「もったいない…!」
その日、掛川駅で下車した私は取材先を目指しながら心の中で叫びました。だってだって…新幹線の駅から徒歩7分の場所にお城がある街などそうそうありません。そうだというのに、街中には人通りが少なく、商店街のシャッターは口をつぐみ、ちょっと元気な看板を見つけたかと思えば、ことごとく居酒屋の看板なのです。
もったいない、もったいない、もったいない…!そのような気持ちを抱えたまま到着した取材先、それが、コワーキングスペース「kakegawa」でした。ちょっと中を覗いてみると、木のぬくもりを感じさせるお洒落な空間。早速扉を開けると、私よりも「もったいない!」を実感している、丸山勲さんが出迎えてくれました。

新幹線の駅から徒歩圏内にお城がある街なんて、そうそうない!
NPO法人かけがわランド・バンク代表の丸山勲さん

ランド・バンクってなあに?

丸山さん「実は僕、本職は工務店なんですよ。リフォームなどをきっかけに空き家問題を考えるようになって、ランド・バンク事業をはじめたんです。ランド・バンクというのは、利用が難しい小規模の空き地などを隣接地と一体化して再編し、利用できるようにする事業のことです。ねらいは地域の活性化ですね」

地域の活性化―それは自身の心、そして生活に余裕がなければなかなかできない取り組みです。こ、志が眩しすぎる…!すると、丸山さんが笑いました。

丸山さん「いえいえ、そうではなくて…なんていうんでしょう。ほら、街が盛り下がってしまうと、自分たちの仕事も盛り下がりますよね。だから、街の士業の先生方とはじめたんです。」

なるほど!確かに、街の活気と市民の豊かな暮らし、そして商売繁盛は一体かもしれません。
ちなみに丸山さん、掛川への愛情が言葉の端々から溢れ出していたため地元のご出身かと思いきや、実は、福島県出身、九州育ちなのだとか。中学生の頃に三年間掛川に住んでおられたそうで、居心地の良さ、街のサイズ感を気に入ったことから掛川を拠点に決めたといいます。
では、具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

コワーキングスペースはレンタルオフィスと似て非なるもの

丸山さん「まずは今いるここ。商店街の空き家を利用した、コワーキングスペースですね」

レンタルオフィスのようなものでしょうか?

丸山さん「いえ、コワーキングスペースとは個々の作業ができるスペースや打ち合わせスペースから成る場所ですが、レンタルオフィスとはちょっと違います。特徴は、壁などで区切られていないこと。それによって利用者の相互交流を促進するねらいがあります。また、スペース内での交流はもちろんですが、空き家を利用して街中に働く場を創れば街なかに人通りができるため、街の交流人口を増やす目的もあります。現在はコロナ禍で中止していますが、以前は利用者の交流会も開催していました」

コワーキングスペースはレンタルオフィスと似て非なるもの
コワーキングスペース「kakegawa」。掛川は静岡と浜松の中間地点ということもあり、県内外から月に20名程度の利用があるそうです♪

“けんちく夜会”で“歩けるまち”を目指す

丸山さん「他には“けんちく夜会”にも力を入れています。これは地域の人たちと、静岡理工科大学の学生さんたちと一緒に、更なる魅力ある街へ育てていくためのレクチャーシリーズです。毎回ユニークなゲストをお招きして“歩けるまち”を目指しています。きっかけは掛川城の前にあった空きビルを、ゲストハウス兼学生寮「JOKA BASE(ジョウカベース)」へ改修したことでした」

現在、学生寮には静岡理工科大学の学生3名が生活しているそうで、担い手が不足する地域のお祭りにお手伝いとして参加するなど、地域の人たちと積極的に関わっているそうです♪

“けんちく夜会”で“歩けるまち”を目指す
お洒落なゲストハウス。屋上ではバーベキューもできるため、掛川城をのぞみながら家族や友人と特別な時間を過ごせそう☆
“コワーキングスペース”に“けんちく夜会”。丸山さんの「交流」へかける思いが伝わってきます。

移住体験ツアー&就農体験を開催

丸山さん「実は“交流”とともに、もう一つ取り組んでいるものがあります。それが“移住”です。今年は“移住体験ツアー”を1泊2日で開催し、また、農業と移住のお試し体験として“就農体験”を5泊6日で実施します」

5泊6日!?けっこうガッツリな感じですね?

丸山さん「そうなんです(笑)農業の大変な部分もちゃんと知ってもらうにはそれぐらいの時間が必要だなと。今回、体験の協力をいただくのがトマト農家さんとイチゴ農家さんなのですが、体験者の方と腹を割って喋ってもらえるような工夫もしています」

本職は工務店だという丸山さん、部屋の「収納」だけでなく、移住の「就農」についても安心してお任せできますネ(笑)

移住体験ツアー&就農体験を開催
就農体験in掛川は2023年1月23日~28日開催!

丸山さんの今後の目標は?

丸山さん「掛川は山、海もあって、お城や報徳社もあります。特産品もお茶やメロン、イチゴ…と、魅力の“コンテンツ”が満載なので、それぞれのコンテンツという点を線で結んでいきたいですね。そして、地域の人たちや学生を交えながら地域の活性化をしていきたいです」

空き家に関する相談会を年に2回開催し、農地の困りごと相談も受けるという丸山さん。

丸山さん「今日もこの取材のあと、草刈りのお手伝いに駆り出されているんです。でも、地域のお手伝いをさせていただくことや、そこで交わされる会話の中に活動のヒントがあるんですよ」

目を輝かせる丸山さん。その姿を見て、関係人口ライターの私は確信を得ました。そのこころは…?

地域の「交流」が、街の「コウリュウ(興隆)」に繋がること間違いなしでしょう!!

おあとがよろしいようで☆

 

▼就農体験のプロジェクトの詳細はこちら!
(募集期間:2022年12月5日~2022年12月29日まで)
https://shizuoka-yellstation.com/archived-project/d086p02
▼移住体験のプロジェクトの詳細はこちら!
(募集期間:2022年12月5日~2022年12月29日まで)
https://shizuoka-yellstation.com/archived-project/d086p03

▼かけがわランド・バンクのHPはこちらから
https://kakegawa-lb.jp/

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター