文化・芸術・スポーツ
西部
小笠山総合運動公園 エコパで、豊かな自然を守り、イベントをサポートするボランティアを(小笠山森の会、小笠山総合運動公園 エコパハウス)
活動団体
小笠山森の会、小笠山総合運動公園 エコパハウス
活動場所
袋井市

静岡県小笠山総合運動公園 エコパは、スタジアムやアリーナなどを備え、スポーツをはじめ多彩なイベントが開催される施設です。意外と知られていないのは、エコパ全体では269haの広大な敷地があり、その6割に豊かな自然が広がっているということ。散策路やビオトープの整備活動を行っているボランティア団体の小笠山森の会と、エコパの自主開催イベントを手がけるエコパハウスでは、一緒に活動するボランティアを募集しています。

 

小笠山森の会のみなさん。左から友田錞治さん、佐藤宏さん、村松勝さん、エコパハウスの戸倉薫さん
エコパハウスのみなさん。左から大場博史さん、藤原直宏さん、戸倉薫さん、松林啓介さん

里山の豊かな自然が広がる、静岡県小笠山総合運動公園 エコパ

2019年に開催されたラグビーワールドカップ。日本代表が強豪のアイルランド相手にジャイアントキリングを起こした舞台となったのが、静岡県小笠山総合運動公園 エコパでした。この歴史的一戦は「静岡ショック」と呼ばれ、世界中で大きく報道されたので、記憶している人も多いかもしれません。
サッカーでは2002年の日韓共同開催のワールドカップやJリーグの公式戦、また、国体をはじめとする陸上競技なども行われているため、エコパはスポーツ施設という印象が強いのですが、エコパがあるのは、静岡県西部の袋井市と掛川市にまたがる小笠山のなだらかな丘陵地。スタジアムやアリーナなどの施設の周辺には、里山の豊かな自然が広がっています。
エコパ内のふれあいの森は、公園全体の6割を占め、確認されている植物は約650種類。そこにはさまざまな生き物も集まってきます。四季折々の花を楽しみながら森の中をめぐれる散策路があり、ビオトープや展望台なども整備されています。

 

 

里山の豊かな自然が広がる、静岡県小笠山総合運動公園 エコパ
なだらかな丘陵地に広がる静岡県小笠山総合運動公園 エコパ

散策路やビオトープ、竹林を整備し、エコパの自然を守る小笠山森の会

誰もが気軽に利用できる、エコパのふれあいの森。散策路や竹林の整備は、ボランティア団体の小笠山森の会が担っています。会の発足は1999年。浜松市や磐田市を中心に活動していた森林ボランティアのホリデーフォレスターズ活動隊が協力し、地元袋井市と掛川市の市民を中心に会員を募集し、小笠山森の会が立ち上がりました。
当時は獣道のようだった森の中の細い道を広げ、周囲の雑木や松林の剪定を行うなどして、歩道を整備してきました。
現在もビオトープや炭焼き小屋周辺、その奥に広がる植林地、竹林の整備を月に1回行っています。主な作業は、遊歩道やビオトープの枯れ枝などの撤去や雨天時に行う作業道具の手入れです。
また、季節ごとの作業としては、竹林整備の一環で春にはタケノコ掘り、年始にスタジアムの正面玄関に飾る門松づくりに必要な竹の伐採、竹炭づくり、シイタケ原木用のコナラの伐採から菌打ちなども行っています。収穫したタケノコやシイタケなどは、会員で分けます。
また、エコパが自主事業として開催している自然観察会のプログラムによっては、お手伝いをすることもあります。

 

散策路やビオトープ、竹林を整備し、エコパの自然を守る小笠山森の会
竹林の整備作業。門松用の竹の伐採は12月に行う

小笠山森の会会長の友田錞治(ともだしゅんじ)さんは、多くの人にエコパの里山の自然を楽しんでほしいと言います。

「散策路を歩いて四季折々の景色を眺め、ビオトープの生き物などを観察して、自然に癒やされてほしいですね。一緒にこの環境を守る活動をしてくれる会員も募集しています。現在、登録会員は22人ですが、高齢化が進んで、常に活動に参加しているのは10〜15人くらい。木を切ったり、植えたりすることが好きという人、自然の中でボランティア活動をしてみたいという人の参加をお待ちしています」。

今後は、従来の作業に加え、老朽化している炭焼き小屋の柱の交換やビオトープの美化を行いながら、比較的作業が少ない時期にできる新たな活動を会員で相談をして取り組んでいくそうです。

 

年末にはエコパスタジアムの照明玄関に門松を組み立てて、1年の作業を終える

小笠山森の会の活動は、毎月第2土曜日の9時から15時です。1、2度、お試し参加することもできるそうなので、自然の中で体を動かしたいという人は、お問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

【リンク】
小笠山森の会
https://www.facebook.com/p/小笠山森の会-100063477125135/?profile_tab_item_selected=mentions&_rdr

 

 

スタジアム運営や多彩なイベントでは、ボランティアスタッフ「エコパサポーターズ」が活躍

エコパの管理・運営は、指定管理者の静岡県サッカー協会グループ エコパハウスが担っています。エコパハウスは、賑わいづくりのイベントなど、年間を通じてさまざまな自主事業を企画、開催しています。エコパに広がる自然をフィールドにしたイベントとしては、小学生を対象に、年間を通して生き物や植物観察をしたり、里山の仕事や季節の行事を体験したりする「エコパ自然塾」を、毎年開催しています。
また、選手のロッカールームやVIPゾーンなど、普段見ることができないエコパスタジアム内をガイドの案内で見学できるスタジアム見学ツアーも人気です。
こうしたイベントの運営では、エコパサポーターズと呼ばれるボランティアスタッフが活躍しています。

 

スタジアム運営や多彩なイベントでは、ボランティアスタッフ「エコパサポーターズ」が活躍
エコパ自然塾は、4月〜12月の間で7回ほど開催

エコパサポーターズは、エコパスタジアムが完成した2001年に組織され、現在3つのチームがあります。
「イベント補助」チームは、スポーツ大会、コンサート、文化イベント、エコパハウス自主事業等での場内への誘導や運営の補助を行います。
「大型映像操作」チームは、イベントや大会等で、スタジアムの大型ビジョンへのカメラ映像や得点表示の操作、カメラ撮影、会場演出のサポートをします。
「施設見学案内」チームは、エコパスタジアム見学ツアーでガイドを務めます。

 

イベントや大会で大型ビジョンに映像を映し出す大型映像操作チーム
見学ツアーでエコパスポーツミュージアムを案内するエコパサポーターズ

エコパサポーターズへの応募、登録について、エコパハウスの大場さんと松林さんに伺いました。

大場さん「エコパサポーターズの登録者は、現在50人ほど。応募に関する問合せは、電話やメールで受け付けています。まずは希望するチームの活動にお試し参加していただいて、正式登録をしてもらいます。静岡県の施設では、浜松市にある浜名湖ガーデンパークなどでもボランティアスタッフが活躍しています。エコパサポーターズの中には、こうした他の施設の団体と掛け持ちをしている人も多く、最近では、ボランティアさん同士が誘い合って互いの団体に登録するケースも増えているようです」。

松林さん「登録者は静岡県西部の人が中心ですが、サッカーイベントなども多いので、静岡市や藤枝市、焼津市といった静岡県中部エリアから参加される人も目立ちます。ボランティア参加の呼びかけはイベントごとに行いますが、LINEやメール、FAXなど、エコパサポーターズの人たちが受け取りやすいかたちで情報発信をしています。現在一番活躍しているのは60代の人たち。これからは20代、30代のエコパサポーターズも増やしていきたいですね」。

 

スタジアム見学ツアーの様子

5万人が収容できる大型のスタジアムがあるエコパだからこそ感じられる、ボランティアのやりがいも魅力です。

大場さん「サッカーやラグビーのワールドカップ、国体など、規模が大きな大会は非日常のワクワク感があります。そんなスタジアムでの大型映像操作は、貴重な体験になると思いますよ。大型映像操作チームは、機械操作が好きな人が集まっていて、最新機器を扱えることもあり、みな楽しそうに活動しています。機械の操作はそれほど難しくはなく、パソコンを普通に使える人なら2、3回ほどで慣れます」。

松林さん「施設見学案内は、スタジアムのイベントや大会がない日に実施するので平日開催が中心になりますが、100〜150人規模の見学ツアーを実施することもあります。このイベントも多くのエコパサポーターズに支えられて開催しています。高齢者のサポーターズの中には、孫と同じくらいの子どもたちを案内する時が楽しいと言う人もいます。みなさん、それぞれにやりがいを見出していただいているようですね」。

サッカーやラグビーで、ワールドカップのスタジアムにもなったエコパスタジアムを有する、静岡県小笠山総合運動公園 エコパ。日常的にも訪れることができる、自然の中で過ごせるエリアも魅力です。イベント時はもちろん、のんびりと散策を楽しみたい時に一度訪れてみてはいかがでしょうか。

そして、もっと深くエコパに関わってみたいと思ったら、お試しボランティアに参加してみてください。

 

【リンク】
https://www.ecopa.jp

 

 

取材・文/竹内友美