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「楽しい会議」と「国産メンマ」が地域を元気に?! 裾野から地域の未来をつくる!

環境
「楽しい会議」と「国産メンマ」が地域を元気に?! 裾野から地域の未来をつくる!
活動団体 NPO法人みらい建設部
活動場所 静岡県裾野市

「楽しい会議と国産メンマで地域を元気に!」をキャッチフレーズに掲げ、静岡県裾野市を拠点に活動しているのが「通称:みらけん」こと「NPO法人みらい建設部」です。

2014年に発足して約8年。

「楽しい会議」と「国産メンマ」という一見すると相容れないキーワードを掲げる団体の活動について、みらい建設部で事務局を務め、普段は裾野市役所に勤務する宮坂里司さんにお話を伺いました。

NPO法人みらい建設部の宮坂里司さん

――みらい建設部の始まりは「仮名○○会」

2014年12月に裾野市で開かれた「楽しい地域づくり講座」に参加した有志が集まって「仮名○○会」という、現在のみらい建設部の前身団体が作られました。
講座の内容は、市民と市の職員向けに、参加者が思いを語り合える会議の場をつくれるように「会議ファシリテーション」のスキルを向上させようというものでした。

宮坂さんもメンバーの一人として参加したところ、非常に意義のある内容で、しかも同じ志を持ったメンバーとのつながりができたそうです。継続した活動をしていくことが、地域づくりに貢献できるということから会を発足。
2015年に「みらい建設部」に名称を変更し、2017年9月には「特定非営利活動法人みらい建設部」を発足して法人格をもつ団体へと発展しました。

――みらい建設部の始まりは「仮名○○会」
地域での会議の様子

――さまざまな職種のメンバーがファシリテーションスキルで地域貢献

みらい建設部では、「会議ファシリテーターとして楽しい話し合いの進行、ファシリテーションスキル向上の人材育成」と「持続可能(サステナブル)な地域社会の構築」を活動目的に挙げています。

団体発足当時は20人程度だった会員も、現在は100人を超え、年齢は20代〜80代まで幅広く、職種も公務員、会社員、主婦(夫)、デザイナー、自営業などさまざま。
団体代表の高橋拓矢さんも小学校の教員を務めています。

会員の活動内容は、ファシリテーションスキルを磨いた会員が、地域のさまざまな会議に出向いて会議を進行することや、会議全体をデザインするというコンサルティングを展開しています。
会議というと、「発言する人が決まっていてマンネリ化してしまう」、「型にはまって新しいアイデアが出てこない」、「会議で決まったことが実行されない」などといった課題を抱える組織や団体もあろうかと思います。

宮坂さんは「これまでに70回以上、会議のファシリテーションを実施してきたが、どの会議も楽しく有意義な会議になっている」と言います。「地域に話し合いの文化を作り、参加メンバーの普段の仕事でのファシリテーションスキルの向上にもつながっています」と、力を込めます。

――さまざまな職種のメンバーがファシリテーションスキルで地域貢献
放置竹林の整備を団体メンバーや地域の人たちと続ける
竹林整備から生まれた「国産サクサクメンマ」

――環境保全活動が国産メンマの生産に

ファシリテーション事業と合わせて、団体が力を入れているのが、環境保全と会員・地域のコミュニケーション=人つなぎを目的とした「農地保全」「竹林整備」の活動です。

元々は、無償で行なっているファシリテーション事業の運営資金を確保するために始めようとした活動だそうですが、実際には地域の困りごとを解決しながら団体の収益に貢献する重要な事業に成長しているようです。

その活動が形になったのが、遊休農地の整備で収穫したサツマイモを原料にし、市内老舗酒店と連携して製造した裾野産「芋焼酎」と、放置竹林の整備から生まれた「国産メンマ」です。

放置竹林は「竹害」とも言われるように全国的な課題で、裾野市でも地域課題の一つとして困っている人がいました。みらい建設部では、この地域課題を解決しようと、2018年から竹林整備や国産メンマづくりを行う地域の取り組みを学習するなどし、裾野産メンマの開発に着手しました。

加工場を整備して自社生産体制も構築。ついに、2019年に裾野産メンマの商品化に成功しました。現在では約200キロのメンマを製造し、市内の販売店に卸したり、ネットショップで販売したりして人気商品となっているそうです。

製造には団体メンバーのほかに、地域の人たちも加わることで、新たなコミュニケーションも生まれており、環境保全活動の枠に収まらない価値が創出されています。

――環境保全活動が国産メンマの生産に
「第3回 純国産メンマサミットin裾野」の様子

――地域における「人つなぎ」を

この国産メンマづくりが、2021年11月に裾野市を会場に開かれた「第3回 純国産メンマサミットin裾野」につながります。
放置竹林の解消に向けて国産メンマづくりを後押しする取り組みで、これまで京都や広島で開催されてきました。3回目を迎えたサミットには、全国各地で国産メンマづくりに取り組む企業・団体のメンバー約140人が裾野市生涯学習センターに集まりました。

みらい建設部のメンマづくりの活動は注目を集めており、県内外からの視察やメディア取材が後を絶ちません。

宮坂さんは「農地保全や竹林整備の活動は、これまで地域活動に無関心だったような人も関わってくれるようになってきました」と手応えを口にします。
子どもたちが活動している様子を見て、近所の高齢者も気軽に活動に加わってきていると言います。

「元々が話し合いの文化を作り、人つなぎを目的にした団体なので、誰でも参加しやすい開かれた団体でありたいと思っています。よりよい社会になるように、色々な人たちと一緒にこれからも活動していきたいです」と宮坂さん。

「楽しい会議」と「国産メンマ」。
興味ある方はぜひ「みらい建設部」に問い合わせしてみてください。

NPO法人みらい建設部
https://miraken.jpn.org

Facebookページ
https://www.facebook.com/特定非営利活動法人みらい建設部-361401827368303/

(文・写真)静岡県関係人口ライター