- 活動団体
- 一般社団法人 しずおか民家活用推進協会
- 活動場所
- 静岡市清水区
民家を「地域の資産」にするアクション

“しずみん”の愛称で親しまれる「一般社団法人しずおか民家活用推進協会」は、静岡県内を対象に、民家・空き家の保全活用、景観向上、地域文化の維持、地域の活性化などを目的に活動する民間組織です。
建設業・不動産業・大学研究者・行政職員など、約100名の会員が、ボランティア活動を基本に活動を行っています。
「民家を地域の資産として活かす」という視点から、空き家や民家の保存・活用に関する情報共有や研究、活用方法の検討、実際のプロジェクト支援・コーディネートを行い、地域の価値向上と活性化を目指しています。

この日、集まって下さった理事長の伊藤光造さん(写真中央)、理事の本田弘哉さん(写真右)、会員で取材地となったSOYハウスプロジェクトを牽引する山下ともちさん(写真左)。経歴やバックグラウンドの異なる多様なメンバーが集まっているのが「しずみん」の特徴です。
団体設立以前の活動を含めると、これまでに静岡県指定文化財の活用や、老朽化した町屋の改修、清水区での空き家整備など多くの実績を残しています。
民家をきっかけに、地域に新たな灯りをともし、人の営みが生まれることが、団体の目指すローカルアクションです。
動き始めた民家活用プロジェクト

明治に建てられた元・醤油醸造の民家を改修して活用する「SOYハウス(静岡市清水区折戸)」では、アートや演劇などの文化活動が行われ、来訪者と地域の人や子どもたちが集う場になっています。
発酵をテーマに、身体も心も健やかに暮らせることをコンセプトにした取り組みが広まり、酵素玄米のランチを目当てにこの場所を訪れる人や、マルシェをきっかけに繋がる人が増えています。
「台風被害が起きた際には、物資の拠点としてお役目も頂きました。」と、山下さんは話します。
当初想定していた活動だけでなく、地域や利用者に求められるカタチへと進化を続けている様子が垣間見えました。
また、由比地域では空き家・民家を活用した「居場所づくり」の取り組みも行われています。こうした活動は、地域の人々が集い交流する場所としての役割を果たしています。
古民家を活かした空間は、観光や宿泊、ワークショップなど、多様な使い方ができる点が魅力です。地域を訪れる人の滞在時間が長くなり、結果として地域との関わりも深まっていきます。
こうした活動を支えるのが、“しずみん”のネットワークです。建築や設計の専門家だけでなく、県外から関わる有識者、地域活動家や文化人などが関わり、プロジェクトを進めています。
こうした取り組みは、地域の魅力を再発見するきっかけになるだけでなく、地域に新しい価値を生み出しています。
民家活用から広がる場づくり・人づくり

“しずみん”では、民家活用をテーマにした研究会や交流イベントも開催しています。
研究会では、民家再生の事例や空き家活用の課題をテーマに、参加者同士が意見交換を行います。
また「しずみんトーク」と呼ばれるオンラインイベントでは、各地のまちづくり団体や専門家をゲストに招き、民家や地域づくりについて語り合う機会を設けています。
こうした活動は、専門家だけでなく一般の参加者にも開かれているため、民家に興味のある人が気軽に参加し、知識を学びながら人とつながることができる場となっています。
民家の活用は、建物の保存だけではなく、地域で活動する人材を育てることにもつながります。
イベントや活動を通して、地域に関わる人が増え、新しいアイデアやプロジェクトが生まれていきます。
その積み重ねが、地域の未来をつくる人づくりにもつながっています。
民家をハブにした「関係人口」という可能性

民家は、地域と外部の人々をつなぐ“ハブ”としての可能性を持っています。
民家を活用した宿泊施設や交流スペースに、県外や国外から訪れた人が地域に滞在し、地域の人々と出会う機会が生まれています。そこから地域に関心を持つ人が増え、何度も訪れるようになったり、地域活動に関わるようになったりすることもあります。
“しずみん”の活動や、立ち上げに関わった施設でも、県外在住の土地オーナーが民家再生をきっかけに足を運んでくれているとのこと。今後、視察や研修、移住の受け皿としても機能しはじめそうです。

「“しずみん”には、次世代を担う若者も参画し、それぞれの知識やスキルを無償で提供し合う好循環が生まれている。ボランティアでしか得られない学びや不思議な面白さがあるんですよね。」
と、本田さんは言います。
空き家課題や、民家という身近な存在を入り口に、人と地域をつなぐ活動の輪がひろがっています。
「空き家を活用したい、プレーヤーがもっと集まると嬉しい。」
理事長の伊藤さんの言葉に、大きくうなずく本田さん、山下さん。
空き家が増えていく時代だからこそ、そこに多様な形で関わるプレーヤーが求められています。
静岡のあちこちにある一軒の民家が、人と人を結び、新しい出会いを生み、地域の未来へとつながっていく。
しずおか民家活用推進協会は、民家という身近な存在を起点に、人と地域をつなぐ活動をこれからも続けていきます。
【リンク】
▼一般社団法人しずおか民家活用推進協会 公式WEBサイト
https://shizumin.jimdofree.com/
▼SHIZUOKA YELL STATION団体情報ページ
取材・文/JUNK itamura

