事例紹介
自然も、歴史も、文化も、雄踏町にはすべて揃っているんです。(地域活性化プロジェクトらびりんすゆうとう)
農山漁村活動団体 | 地域活性化プロジェクトらびりんすゆうとう |
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活動場所 | 静岡県浜松市 |
「今は昔、東征の折にこの地に立ち寄った日本武尊(やまとたけるのみこと)が金山に登り、雄々しく足を踏みならしたことから、この里を雄踏と称するようになった」
―雄踏町・金山天神社社伝による―
日本武尊縁の地、静岡県浜松市中央区雄踏町は浜名湖の西に位置する人口15,000人ほどの街。自然豊かな地でありながら、社会インフラ及び生活インフラともに充実した利便性の高いエリアとして発展しています。
今回はそんな雄踏町の魅力を発信し続けている「地域活性化プロジェクトらびりんすゆうとう」の代表・加茂博子さん(写真左)と松本陽子さん(写真右)にお話を伺いました。設立のきっかけはSNSだったそうです。
「もともとはブログ仲間のオフ会から始まったんです」と松本さん。「浜松エリアの情報ポータルサイトが運営しているブログを通じて、雄踏町に暮らす人や雄踏町ファンが繋がっていったんですね。ブログ内のコメント欄で仲良くなり、一度皆で会いましょうとオフ会が開催されました。雄踏町のいいところをもっと発信していこうと話は大いに盛り上がり、それが結成のきっかけでした。設立は2011年。多少の入れ替わりはあるものの、現在も結成当初と変わらぬ10名程度のメンバーで活動しています」
発足以来、季節ならではのイベントで雄踏町を盛り上げるらびりんすゆうとう。春は親子たけのこ掘り体験、初夏には田んぼアート田植え、そして秋は稲刈り、12月には、らびりんすゆうとうが中心となり50年ぶりに復活させた“”地の神様のおまつり”、すココン祭を開催します。
―SNSを拝見するに、すココン祭は、特にメンバーの皆さんの思い入れが強いように感じます。どのようなお祭りなのでしょう。
「『すココン』とは雄踏町と周辺の街に伝わる風習です。先ほどもお話ししたとおり、毎年12月15日に行われる“地の神様のおまつり”なのですが、50年以上も途絶えていたんです。おまつりの日には、各家にある地の神様に“おもっそ”と呼ばれる小さなお赤飯をお供えします。すると子どもたちが『すココンおくれ。すココンコン』と唱えながら近所の家をまわり、お供えしてある“おもっそ”を持ち去るのです。きつねは田畑を荒らす害獣を食べるため田畑の守護神として祀られており、コンコンいいながら“おもっそ”を取りに周る子どもたちが、きつねの役割だったようです。
そのおまつりに私たちがアレンジを加え、田んぼアートで作ったお米をお餅にして収穫祭として振る舞う形で復活させたのがすココン祭です。第7回まで開催していたのですが、コロナ禍でしばらく中断。2023年に再開しました。地域の子どもたちだけではなく、田植えに参加してくださった皆さんにも参加のお声がけをしています」
と、加茂さんと松本さんによるわかりやすい解説。お話から、復活にかけた情熱が伝わってきました。なるほど、春の田んぼアートから冬のすココン祭という一連の流れに関係人口が関わってくるのですね。
田んぼアートが始まったのは令和2年から。地元・雄踏中学校美術部の生徒さんにデザインを依頼し、それに基づいて稲の苗を変え田植えを行う。子どもたちへの田植え指導は、JAさんにご協力いただいているとのこと。
2023年の田植えには、スタッフを含め総勢60名以上の人が集まりました。参加者は地元以外の方が多いそう。イベント告知は会のSNSとメンバー個人のブログで発信。するとそれを見たフォロワーさんがリピーターとして雄踏町を再び訪れてくれます。
「直近のイベントとして4月に親子たけのこ掘り体験を実施したのですが、皆さんとても喜んでくださって」と松本さん。参加後に行ったアンケートを一部拝見させていただきました。
「今日はありがとうございました。
親子ともども、とても楽しかったです。
以前、たけのこ堀りに参加させていただいたときはやり方もうろ覚えだった息子が、
『今日はちゃんと掘り方がわかった!』と言っていました。
田植えや稲刈り等、普段できない体験をさせていただき
らびりんすさんには、いつも感謝です(*^^*)」
「たけのこ掘りを、安全に楽しく体験させていただきありがとうございます。子どもたちもとても楽しかったようです。たけのこを自分たちだけで掘るという息子たちの成長した姿も見ることができ、嬉しかったです。体験のあと、早速実家で茹でてもらい、今晩のおかずになりました」
[※一部抜粋・編集]
松本さんが続けます。
「こういう風に喜んでくださると、よーし、もっと頑張ろうと思えます。私たちが思っている以上に、皆さんが雄踏町の豊かな自然に感激してくださいますよね?代表!」
「私たちには日常なんだけれどね」と微笑む加茂さん。
「イベントに参加してくださった方が、少しずつではありますが、らびりんすゆうとうや雄踏町のファンになってくださっているのは実感しています。私はお米を作っているのですが、普段の日でも田んぼを見に来るファミリーが増えたような気がします。おそらく田植えに参加して、田んぼに暮らす生物に興味を持った子どもたちのご家族が、また遊びに来てくれたと思うんですよ」
―皆さんの活動は、雄踏町の魅力を着実に発信しているようですね、松本さん。
「らびりんすゆうとうの目的は、雄踏町というふるさとを盛り上げること。ここには、自然も文化も、伝統も、何でもあるんですよ。それが雄踏町の魅力なんです。それをもっともっと伝えていきたい。子どもたちが成長し、雄踏町を出ることがあっても、いずれはまたここに戻ってきてくれるような魅力的な街であってほしい。そして誇りに思える故郷であってほしい。そんな素敵な街づくりの一助を担えればと思っています」
■地域活性化プロジェクトらびりんすゆうとう
(文・写真)静岡県関係人口ライター