事例紹介
誰もが主役になれる『まちづくり』。草薙カルテッドから生まれる挑戦と応援
まちづくり活動団体 | 一般社団法人草薙カルテッド |
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活動場所 | 静岡県静岡市草薙 |
「ちょうど昨日の話なのですが。小学2年生のわが子が、近所で仲良くしている老夫婦のお宅で、夕飯をご馳走になったんですよ。」
草薙の良さってどんなところですか?と投げかけた質問に対して、そんな返答が。
「いつの時代だよ!って感じかもしれないし、うちの周りだけかもしれないんですけど。ギスギスしていないというか、ゆとりがあって・・・」
静岡県草薙駅を中心に、地元まちづくりに取り組む『草薙カルテッド』を取材しました。
目次
1)草薙カルテッドとは、どんな活動をしている団体?
2)24時間利用できる給水スポットを設置
3)10年後を見据えた時、地域がなめらかにまわるように
4)気軽にぜひ、草薙のまちと関わってみてほしい
5)ワクワクする未来へ、まちの物語をすすめる
誰もが主役になれる『まちづくり』。草薙カルテッドから生まれる挑戦と応援
一般社団法人草薙カルテッドは、地元自治会や商店会メンバーが中心となって2017年に設立されました。
(※カルテッド(culted)は、カルチャー(culture)とエデュケーション(education)を組み合わせた造語)
地元まちづくり検討会議で策定された「まちづくりビジョン」の実現を目指し、産学官民と連携して地域課題の解決や、まちづくり活動に取り組む団体です。
3つの方針
(1) 草薙での暮らしを豊かにする
(2) 文教などの資源を活かす
(3) 魅力的な価値ある空間にする
を掲げ、駅前広場や公共施設の活用、イベント企画など、「次代につながる選ばれる街」に向けた活動を行っています。
24時間利用できる給水スポットを設置
草薙カルテッドの具体的な活動内容について、事務局の小林祐介さんに伺うと、昨年、静岡県に甚大な被害を及ぼした台風15号発生時のエピソードを話してくれました。
「台風による断水被害に、草薙カルテッド会員や学生たちがいち早くアクションを起こし、生活用水に困る市民と、地域外からの助け合いの声を結び付ける給水スポットを展開させました。」
JR草薙駅南口イベント広場と北口芝生広場を活用して受け渡し場所をつくり、SNSで呼びかけを行うと、草薙から東京に通勤している人が仕事帰りに、鞄いっぱいの水を持ち帰ってきてくれたと言います。
持ち運びがしやすい500mlのペットボトルを推奨。駅前で24時間受け渡しができる利便性から、多くの人が助け合いの輪に加わったそうです。
その後、東大発のソーシャルベンチャーから循環型シャワーの設置協力があったり、官民連携でのアクションを地元メディアが取り上げてくれたりと、支援活動は思わぬ拡がりをみせました。
10年後を見据えた時、地域がなめらかにまわるように
災害対応以外にも、まちづくりに関係する様々なことにチャレンジしている草薙カルテッド。
活動での悩みや苦労していることを伺うと、
「まちづくりには、にぎわい創出だけではなく、防犯や教育、福祉など様々な取り組みがあります。活動の幅が広がってきたことで、全てに関わり切れていないもどかしさがあります。」
と、多岐に渡るプロジェクトを同時進行させる大変さを感じている様子です。
対策としては、メンバーが分散型自律組織のようにプロジェクトを推進させることで、にぎわいづくりはもちろん、多方面での活動がスムーズに行えるよう工夫をしている最中とのことでした。
もうひとつの悩みは、
「会員や賛助法人は増えてきたものの、まだまだ会員同士で繋がって行く仕組みが確立できていないので、自分たちが間に入ってコーディネートをする場面が増えました。それでは事務局マンパワーの限界もあるので、場所の力を高めて交流が活発になる仕組みを構築したいです。」
と課題感をにじませます。
気軽にぜひ、草薙のまちと関わってみてほしい
まちづくりの活動に、地域以外のひとが関わることは難しい気がして質問をすると、
「イベントは地域外から参加可能な企画も多いので、ぜひ草薙にお越しください!」
つづけて、
「やりたいことを試せる場所として1年に1回でいいので、草薙を活用してもらえたら。」
「賛助会員や運営に関わっていただける方も広く求めていますし、まちへのアドバイスも聞かせてほしい!」
と答えてくれました。
そのためにも、気軽にふらっと『草薙カルテッド』へアクセスできる体制をつくりたいそうです。
ワクワクする未来へ、まちの物語をすすめる
「草薙の良さってどんなところですか?」
あらためて、質問をすると、
「暮らしに安心したいヒトと、何かにチャレンジしたいヒトの、バランスや相互理解が保たれている気がしています。あたらしい人が溶け込みやすいまち。『調和』という言葉がしっくりくるかも。」
と草薙について話してくれました。
「全国どのまちにも、いろいろな課題があると思うので、自治会や商店会が連携したこの地域の『まちづくり』が、いろんな地域の役に立てば!」
そんな考えのもと、静岡県の地域プロデュース講座に参加、アーバンデザインセンター(UDC)の取組みにも加わっているそうです。
「自分達も全国の活動から学ばせて欲しいし、逆に見学にも来て欲しい。もっと日本各地と情報交換できる体制をつくれたら!」
と意欲的です。
現在は草薙駅前での活動がメインですが、今後、居住エリアまで活動を広げる計画も。
「今、幸せなヒトも、ちょっと幸せを感じきれていないヒトにとっても、希望を持てるまちでありたい。」
次代につながる草薙のまちづくり、ワクワクする未来へ向けて、今年も新たな取り組みが続きます。
(文・写真)静岡県関係人口ライター