事例紹介

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歴史と文化が息づく赤レンガ倉庫の魅力(NPO法人 菊川まちいき)

まちづくり
歴史と文化が息づく赤レンガ倉庫の魅力(NPO法人 菊川まちいき)
活動団体 NPO法人 菊川まちいき
活動場所 静岡県菊川市

静岡県菊川市の中心地に、ひっそりと佇む赤レンガ倉庫。
この歴史ある建物には、地域の過去から未来への物語が詰まっています。
かつて、お茶の加工場として地域を支えたこの倉庫は、保存の危機に瀕した際、地元の人々の熱意によって蘇りました。

菊川赤レンガ倉庫の保存と魅力発信を行う『NPO法人菊川まちいき』を訪ね、歴史を未来に継承し賑わいを生み出す活動を取材しました。

目次
1)赤レンガ倉庫と菊川まちいきの歴史
2)菊川市街地の活性化と文化的なまちづくり
3)多彩なイベントで賑わう赤レンガ倉庫
4)まちの財産を次世代へと守り伝えたい

 

【赤レンガ倉庫と菊川まちいきの歴史】

【赤レンガ倉庫と菊川まちいきの歴史】

『菊川赤レンガ倉庫』は、20世紀初頭にお茶の加工場として建てられました。

当時の菊川市はお茶の産地として栄え、この場所では合組(ごうぐみ)と呼ばれるお茶師が茶葉をブレンドする重要な作業が行われていました。

レンガ造りの工場は、製茶の過程で使用される蒸気や熱に耐えるため、頑丈な造りとなっており、『イギリス積み』という工法で積み上げられた焼きむらやサイズの違いがある大きなレンガが、当時の様子を物語ります。

その後この倉庫は薬局としての役割を担い、地域に根ざした歴史を重ねてきました。

しかし、四半世紀前に区画整理計画が持ち上がり、取り壊しの危機に直面することになります。
その際、地域の歴史と文化を守りたいという市民の思いから、保存活動が始まり、『NPO法人菊川まちいき』としての活動がはじまりました。

この活動の結果、地域の誇りを象徴する存在として復活した赤レンガ倉庫は、登録有形文化財としての認定も受け、歴史的価値が再評価されるとともに、地域の文化発信の拠点として活用されています。

 

【菊川市街地の活性化と文化的なまちづくり】

【菊川市街地の活性化と文化的なまちづくり】

菊川まちいきの活動は、歴史的建造物の保存にとどまりません。建物を地域の文化的な中心地と位置づけ、菊川市の魅力発信と街の活性化に寄与しています。

活動の立役者である3人に話を伺うと、そのきっかけは三者三様です。

理事長の大橋さんは建築設計士で、赤レンガ造りの建物に強い関心を抱き、その価値を守りたいという思いから保存活動に加わりました。

NPOの立上げから活動に関わる梶さんは、菊川の住宅の中にあるレンガ造りの建物に魅了され、地域の文化遺産と茶文化を次世代に伝えたいという情熱から参加したそうです。

そして、元保育士のハセガワさんは、子育て支援のボランティアを通じてこの活動に加わりました。

『まちいき』という名前には、まちの中から粋な活動をしよう!という思いが込められています。

菊川市は、豊かな自然と歴史に彩られた街ですが、近隣市町と比べて印象に残りづらい面もあると話す梶さん。

地域住民が多様な視点とスキルを結集させて、地域の文化を守り次世代へと伝えるという共通の目的のもと、文化的なまちづくりを推進しています。

 

【多彩なイベントで賑わう赤レンガ倉庫】

【多彩なイベントで賑わう赤レンガ倉庫】

赤レンガ倉庫では、これまでに様々なイベントが開催されてきました。

年に一度開催される『手づくり展』は、地元の手作り品や工芸品を展示販売するもので、2日間で500人以上の来場者を集めるほどの人気ぶり。地域のクリエイターや職人たちが自らの才能を披露する舞台としてにぎわっています。

倉庫の音響の良さを活かして、ジャズや弦楽奏のライブも行われ、地域住民だけでなく市外からも多くの音楽愛好家を引きつけています。
会場の大きさが手ごろで、レンガ造りの雰囲気が魅力的だと、アーティストからも高評価です。

さらに、落語家を招いた寄席では、出囃子とともに落語家が2階から降りてくるという趣向を凝らした演出で、来場者を楽しませています。

最近ではJRさわやかウォーキングの立ち寄りポイントとしても活用され、地域にとどまらない交流の場としても機能しています。

 

【まちの財産を次世代へと守り伝えたい】

菊川まちいきの活動は、単なるイベントの開催に留まらず、地域の文化遺産を次世代に引き継ぐための取り組みでもあります。

にぎわいを生み出すイベント以外に、地域の子どもたちに郷土の歴史や文化の重要性を伝え、未来に向けて継承していく活動も展開中。

地元の小学生が校外学習として、菊川のお茶産業の歴史や倉庫の成り立ちを学ぶ場として活用されています。

今後について、話が及ぶと
「赤レンガ倉庫のさらなる活用を目指して、建物の耐震補強や整備を図りたい」
「菊川の茶文化をひろめ、地域全体の活力になるような場所を目指している」
「若い世代にも活動に参加してもらい、地域の文化を継承していけたら」
と、未来に向けての課題や目標があがりました。

赤レンガ倉庫の保存活動は、過去から未来へとつながる文化の架け橋です。

この活動を通じて、地域住民が自らの歴史や文化に誇りを持ち、新しい価値を創造し続けることで、これからのまちづくりを進めています。

菊川赤レンガ倉庫は、毎週日曜日に開放されており、貸切りでのイベント利用も可能。興味のある方は、ぜひ一度訪れてみてください。

 

【リンク】
▼NPO法人菊川まちいき WEBサイト
http://www9.plala.or.jp/kikugawamatiiki/

▼SHIZUOKA YELL STATION団体情報ページ
https://shizuoka-yellstation.com/group/d060

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター

【まちの財産を次世代へと守り伝えたい】