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自転車の文化を根付かせたい! オリンピック選手も集う西伊豆の拠点に

文化・芸術・スポーツ
自転車の文化を根付かせたい! オリンピック選手も集う西伊豆の拠点に
活動団体 NPO法人カケルバイク
活動場所 静岡県沼津市

昨年の夏、静岡県では伊豆ベロドローム、伊豆MTBコース、富士スピードウェイがそれぞれ、「東京2020オリンピック・パラリンピック」の自転車競技の会場となり、大いに盛り上がりを見せました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、海外・県外からの観光客は少なく、当初の期待を下回りましたが、「自転車でまちづくり」を掲げる静岡県東部エリアにとっては世界に伊豆の良さを発信するチャンスとなりました。

沼津市の駿河湾に面し、海と山に囲まれた静浦東エリアを拠点に活動する「NPO法人カケルバイク」にとっても、オリンピック・パラリンピックの開催は大きな契機となり、団体の活動を後押ししました。
サイクルステーションの運営や自転車関連のイベントを手掛けるカケルバイク代表の小野剣人さんに、団体の活動や自転車の魅力などを、小野さんが営むサイクルカフェ「チェレステカフェ」で伺いました。

「NPO法人カケルバイク」の小野剣人さん

――「サイクリストが立ち寄れるカフェを作りたい」という思いをカタチに

東京都世田谷区出身で現在44歳の小野さんは、中学生の時に自転車競技を始め、地元のクラブチームにも所属。10代の頃は自転車にのめり込んだそうです。社会人になり、大手飲食チェーンで働き始めてからは、休みの度にバイクを走らせて富士宮・朝霧を訪れていました。「都会育ちだった自分にとって、朝霧の環境は新鮮でした。コンクリートに囲まれた都心と朝霧では対極のような場所。土臭いことをしたことがなく、火もつけられないような自分が人間として恥ずかしくなり、朝霧に通い始めて半年で、富士宮に住むことに決めました」と小野さん。27歳の時に飲食チェーンでの仕事もやめて、東京から富士宮に移住しました。

富士宮ではカフェの運営をしながら、カヤックやマウンテンバイクなどアウトドアアクティビティーの手伝いをして自然に囲まれた日々を送ります。富士宮で7年ほど過ごしたのち、34歳で沼津に移り、2013年4月にサイクルカフェ「チェレステカフェ」を立ち上げました。

自転車好きが高じて「サイクリストが気軽に立ち寄れるカフェを作りたい」と、出店場所を探したという小野さん。いろいろな場所を検討する中で、「景色も良く、走りやすいこの海岸線がお気に入りに。伊豆のポテンシャルを感じて、この沼津の場所に店を構えました」と、当時を振り返ります。

――「サイクリストが立ち寄れるカフェを作りたい」という思いをカタチに
サイクリストが集まるサイクルカフェ「チェレステカフェ」
壁には選手や関係者らのサインがびっしり!

――自転車競技選手や関係者とのつながりが「カケルバイク」の設立に

店をオープンすると、次第にサイクリストのほか、自転車競技の選手や関係者らも来店するようになっていったそうです。小野さんが積極的に自転車関係者に店をPRしたことが来店につながり、その客がまた口コミで次の客を呼び込むという循環が生まれ、店は自転車好きや選手の交流の場に発展しました。

オリンピックの開催が決まってからは、強化合宿で伊豆を訪れる選手や関係者がさらに増えました。そのつながりを生かして地域に貢献しようと、静岡東部エリアにおける自転車文化の発展を目的に、2019年、「NPO法人カケルバイク」を設立しました。

カケルバイクには、自転車競技現役の元日本代表選手、オリンピック出場選手、プロサイクリングガイド、スポーツトレーナーなど、自転車競技に関わる人が在籍しています。
団体は、沼津サイクルステーション静浦東の運営、サイクリングイベントへのガイドスタッフの派遣、イベントの運営やMC、自転車メンテナンスやストライダーの教室など、自転車に関わるさまざまな活動を展開しています。

――自転車競技選手や関係者とのつながりが「カケルバイク」の設立に
「チェレステカフェ」内にある「カケルバイク」の活動スペース

――人と人とのつながりを大切に自転車文化を育む

オリンピックの開催によって、今でこそ地域の自転車に対する理解は進みましたが、海外と比較すると受け入れ文化はまだまだ発展の余地があるといいます。
小野さんは「海外のカフェだと自転車のユニホーム姿でも自然と受け入れてくれるが、日本はまだそうではありません。サイクリストの交通マナーの向上も必要ですが、街全体として自転車を受け入れる文化を作っていきたいと思って活動しています。静岡県の東部エリアは自然も豊かで素晴らしい地域なので、それを知ってもらいたいという思いもあります」と話します。

現在、小野さんたちは、フェスと自転車を掛け合わせたイベントの開催を計画しています。昨年の3月に、自転車関係の友人やレース関係者の人たちを呼んで、愛鷹山でプレイベントを開いたそうで、首都圏などから30人ほどが集まりました。コロナ明けに掲載を計画するイベント本番では、自転車好きの人が全国から集まるイベントになるようにと、着々と準備を進めています。

小野さんは「文化を作っていくに当たって大事なのは、人のつながり」と力を込めます。オリンピックの開催によって、立派な設備ができたり、関連イベントが開かれたりと、自転車競技にも注目が集まったのは確かです。その盛り上がりが一時的なもので終わらないように、自転車文化が地域にとってより身近な存在になることが大切だといいます。そういう意味で、サイクルステーションや小野さんの運営するサイクルカフェが、「人と人がつながる欠かせない場所」になっているようです。

――人と人とのつながりを大切に自転車文化を育む
沼津サイクルステーション静浦東での活動

――自転車との出会いが「新しい人生のスタート」に

団体が運営するサイクルステーションで活動する女性メンバーの一人は、元々は自転車に関して全くの素人だったそうです。子育てもひと段落し、何か新しいことを始めたいと考えていた時に、自転車に興味を持ってカケルバイクの活動に参加してサイクルステーションの運営に関わるようになりました。
自分も自転車に乗り始めながら、訪れるサイクリストと接する生活をすることで「新しい人生が始まった気分。自転車と出会えたことに本当に感謝しています」と、生き生きと活動しているそうです。

――自転車との出会いが「新しい人生のスタート」に
富士山や駿河湾の自然が伊豆サイクリングの醍醐味

――自転車を楽しむ人が集う場所に

今後、団体としては「カケルバイク」の由来にもなっているように、自転車と何かを「掛け合わせた」取り組みを強化していく計画です。
例えば、自転車でポイントまで走って海でSUPをしたり、自転車で城や史跡巡りをしたりと、それぞれの分野で詳しい人とコラボレーションして、地域の自然や歴史を体験できるイベントを開催していきたいそうです。それによって、新たな人とのつながりが生まれることも期待しています。

小野さんは「昨年までは人を楽しませたいということが中心でしたが、今年は運営している私たちが楽しみたいと思っています。自分たちが楽しく活動していたら、きっと参加したいという人も増えるはずなので、力まずに楽しく活動していきます」と笑顔で話してくれました。

活動やイベント情報は「カケルバイク」のFacebookページなどで発信していくそうなので、興味がある方はぜひアプローチしてみてください。

 

「カケルバイク」Facebookページ

https://m.facebook.com/kakerubike/

「カケルバイク」ホームページ

https://kakerubike.upper.jp

サイクルカフェ「チェレステカフェ」

https://www.facebook.com/celestecafe23/

 

(文・写真)静岡県関係人口ライター

――自転車を楽しむ人が集う場所に