事例紹介
全ての若者が「やってみよう」と踏み出せる静岡に!みんなのチャレンジ基地ICLa
まちづくり活動団体 | NPO法人ESUNE |
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活動場所 | 静岡県静岡市 |
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に大きく環境が変わったのは、大人だけではありません。
この数年間で高校生・大学生の生活にも大きな変化が起きました。
休校措置やオンライン授業の実施、サークル活動の制限、アルバイト先の時短営業によって収入が減少し、生活困窮による望まない退学・休学も増加したそうです。オンラインでの就職活動が主流になり、学生時代に社会との接点が持ちづらいことで、将来のキャリアについて不安を感じる学生も多いといいます。
そんな状況の中、学生が中心となって運営を行う『みんなのチャレンジ基地ICLa(イクラ)』が静岡市でスタートし、コロナ禍を過ごす学生たちの閉そく感に一石を投じる試みとしても注目されています。
大学と企業、そして学生が協力し合い開設したこの場所で、学生スタッフとして副センター長を務める小森史靖さんにお話をうかがいます。
目次
1)留学予定で休学したが、入国ビザが取得できない
2)若者が社会に希望をもって、冒険をしていくための基地
3)13個のチャレンジプロジェクトが始動
4)問題は山積み。トライ&エラーが続く
5)50社と500人のサポートでまちが変わる
留学予定で休学したが、入国ビザが取得できない
「大学生ながら、副センター長として活動をされているのですか?」差し出された名刺を見ながらそう質問すると、小森さんは、現在の活動をスタートすることになったきっかけについて話してくれました。
「最初は、海外留学がしたいと思っていたんですよ。」
小森さんは、在学中にカナダ留学をしたいと考え、通っていた静岡大学を2021年の秋から休学することに決めたそうです。
しかし、時はコロナ禍。海外渡航が制限され、肝心のビザを取得することが出来ません。
留学の計画が白紙になってしまい、「休学中の時間をどう過ごそうか?」と考えていた時に、SNS経由で大学生と若手社会人を中心に活動を行うNPO法人ESUNEと出会ったことが、『みんなのチャレンジ基地ICLa(イクラ)』の立ち上げに参画するきっかけだと言います。
※NPO法人ESUNE
静岡県静岡市を拠点に、2013年から大学生とのまちづくり・地域活動に取り組んでいるNPO団体。
「一人ひとりが持つ可能性と、あらゆる組織が持つ可能性を引き出すことで、未来社会を想像・創造する」をミッションに、様々なプロジェクトを展開中。
若者が社会に希望をもって、冒険をしていくための基地
2022年10月にオープンした『みんなのチャレンジ基地ICLa』は、若者たちが将来に対して「できそうにない」と感じてしまう地域ではなく、「やってみたい!やってみよう!」と一歩を踏み出したくなる、そんな地域のカルチャーを静岡で育んでいきたいという想いのもと、静岡大学や県内企業との連携によって実現した若者のチャレンジ拠点です。
和室やオープンスペースで読書や勉強、ミーティングなどを行うことのできる、家とも学校とも異なるサードプレイス。静岡大学にほど近い駿河区小鹿にある建物の3階にあるため、窓からは富士山、日本平を見渡すことができます。
学生スタッフを中心に運営され、毎月延べ100人近くの学生が訪れて、プロジェクトに取り組んだり、友達と話したり、イベントを開催したりしています。
13個のチャレンジプロジェクトが始動
オープン前に行われた内覧会では、学生はもちろん、大学職員、教授、民間企業、行政の様々な人によって、この場所をどんな風に活用したらいいかの対話が繰り返されました。
挑戦と応援が循環する、チャレンジの起点となるプラットフォームを目指して、就活イベントやインターンセミナーなど積極的な活動を行い、オープンから日が浅いながら、リターナブル食器の事業化プロジェクトや出張野球教室など、既に13個のチャレンジプロジェクトが始動しているといいます。
小森さん自身も、この場所で小・中学生向けの5科目を教えないスクール「あむラボ」にチャレンジ中で、
小・中学生の「やってみたいこと」に対して大学生が伴走するオーダーメイド学習塾プロジェクトを行っています。
※「あむラボ」https://amulabo-shizuoka.studio.site
起業やまちづくりといった活動だけでなく、社会人と学生が交流できるBARイベントや、サッカー観戦会も催され、一人一人の「やってみたい」という想いを源泉にしたプロジェクトが、この場所が出来たことで次々と生まれています。
問題は山積み。トライ&エラーが続く
昨年10月のオープンから約3か月。新たなチャレンジが生まれる一方で、施設運営していくための課題も見えてきたといいます。
特に、挑戦と応援が循環する仕組みづくりの中で、『応援』に関する部分には改善の余地が多く、チャレンジを支えるサポーター制度『てみる基金』を立ち上げたり、クラウドファンディングを実施したりと、地域ぐるみで応援する文化をどう根付かしていくのか試行錯誤しているそうです。
50社と500人のサポートでまちが変わる
取材を通して、コロナ禍の学生が抱える問題を目の当たりにしたことと、それにも関わらず地域や社会に対してチャレンジしようとする若者の熱量を感じました。
小森さんは、「チャレンジとは、今とは異なる世界を知る一歩だと思う」と言います。
「挑戦の大小ではなく、その人らしい一歩を大切にできる社会のために、まずは自分が最初の一歩を踏み出してみました!」
今は、この場所から学生のチャレンジを50個生み出すために活動していると言います。
「50社の企業や団体、そして500人のサポーターを巻き込んでいけたら、まちの環境や文化もきっとかわるはず。」
小森さん自身についても、大学への復学や、留学への再挑戦をあきらめていないと聞いて、ひと安心。
若いパワーと、大人たちや地域のバックアップが循環することで、静岡にどんな変化が生まれるのか、『みんなのチャレンジ基地ICLa』にぜひ一度お立ち寄りください。
リンク
みんなのチャレンジ基地ICLaインスタグラム
https://www.instagram.com/shizuoka_icla/
みんなのチャレンジ基地ICLa サポーター募集
https://community.camp-fire.jp/projects/view/633803
(文・写真)静岡県関係人口ライター